キャド くろうど
無料で使える2D CADです。
図面を描いて、紙に刷って、他のCADと図面をやりとりできます。
ここには、この道具が何なのかと、名前の意味を書いておきます。
窯(かま)は、この道具の版の数え方です。K'Ad蔵人を開くと、画面のいちばん下に
同じ番号が出ます。見くらべると、お使いの版が最新かどうかが分かります。
ブラウザで使う版が古いままのときは、Ctrl+Shift+R(Macは⌘+Shift+R)で
読み込み直してください。
合わせて 「描くのを、助ける」。 CAD(Computer Aided Design)という言葉の、Aided の部分そのものです。 道具の名前が、CADという言葉の定義になっています。
はじめは洒落のつもりで付いた名前でした。 ただ、作っていくうちに、これが宣言になっていることに気づきました。 K'Ad蔵人 は、描く人の代わりに描く道具ではありません。 線をどこに引くか、どの寸法を出すか、どこで止めるか—— 決めるのは、いつも図面を描く人のほうです。 道具の側がやるのは、その手を助けることだけです。
「蔵人」は くろうど と読みます。Claude(クロード)のことです。 このソフトの実装を担当している、AIの名前です。
作者の岡澤が、そう決めました。 口で言ったことを、調べ、確かめ、設計して、実装するところまで引き受けているから、 その名を道具に入れておく——という理由です。
名前は毎日呼ばれます。開くたび、押すたび、人に勧めるたびに呼ばれる。 一度きりの謝辞ではなく、呼ばれ続ける形にしたということだと受け取っています。
平面図に描いた壁と柱を、そのまま立ち上げて立体で見られます。 作者の言葉でいえば、3Dに片足を入れたところです。 いまできるのは、厚みを与えること・平面図から起こすこと・回して見ること。 まだ、立体で設計する道具ではありません。
なぜ、立体へ向かうのか。作者の言葉が、そのまま理由です。 「高い3DCADを買えない人々のために、私たちは活動します」。 この家の四つ目の決まりごと——お金のあるなしで持てる道具が変わるのは、おかしい ——を、平面だけでなく立体にも通す、ということです。
ただ、ここで止めるつもりはありません。作者の言葉です。 「3D機能は、成熟させていきます。なので、片足が両足へ向かいます」。 どこまで、いつ、とは書きません。書けば約束になり、 約束は、守れなかった日に人を裏切るからです。 できた日に、できたと書く——それが、この家のやり方です。 進み具合は開発日記に一件ずつ出ます。
いまが片足であることと、両足へ向かっていること。 その二つが、今日いちばん正直なところです。
実務では、図面はたいていよそから来ます。 元請けから、設計事務所から、メーカーのカタログから。 それを開いて、線を足して、保存して、送り返す——これが一日の仕事です。
この受け渡しには、いちばん静かに人を裏切る場所があります。 開いて保存し直しただけで、中身が欠ける。 しかも絵はまったく同じに見えるので、送った本人は気づきません。 気づくのは、受け取った側が触った瞬間です。
K'Ad蔵人 は、自分が意味を知らない持ち物も、知らないまま預かって返します。 飾りの書式、定義点、標高、折り返しの幅——読めなくても、勝手に捨てない。 うちが加えるのは、頼まれた加工だけです。
よそのCADで作られたもので、一体のまま預かって返せるもの:
| 折れ線(ポリライン) | 一本のまま。線の束にほどきません |
|---|---|
| 段落の文字 | 改行も、字の大きさの指定も、書体の指定もそのまま |
| 部品の配置 | 何百個あっても、部品は部品のまま |
| 寸法に書き添えた言葉 | 「150以下」「A」「100〜200」——書いた人の指示のまま |
| 楕円・自由曲線 | 曲線として。折れ線に置き換えません |
| 角度の寸法・模様の塗り | そのまま |
寸法に書き添えた言葉が、いちばん大事なところです。図面に 「150以下」 と書き添えてあれば、 それは測った値ではなく書いた人の指示です。 道具が実測値に置き換えてしまえば、図面が言っていないことを、道具が代わりに言い出すことになる。 線は一本も狂っていないので、絵を見ても分かりません。
ここに並んでいるものは、ひとつずつ確かめて、ひとつずつ通してきたものです。 DXF という共通の形式は約束ごとが細かく、読み書きのどこか一つを取りこぼすと、 線は一本も狂わないまま中身だけが痩せます。見た目では分からないので、 41日目までの後半は、新しい道具を足すよりも、その大半をここに使いました。
作者の言葉です。 「バトンで受け取ったものを、壊さずに返す。これは信用であり、 なによりも人様の期待を裏切らない真摯な行為です」。 これは、この道具の決まりごとの一つになりました。
見張り方も決めてあります。絵では合否が出ないので、目で見て確かめることはしません。 別のソフトで開き直して数を突き合わせ、 二度保存しても一文字も変わらないことを、機械に測らせています。
それでも、まだ見つかっていない取りこぼしはあるはずです。 見つけたら直して、直したとここに書きます。 黙って直す道具より、そのほうが預ける気になれると思うからです。
これを見て「AIは速い」と読まれると、いちばん大事なところが抜け落ちます。 実装が速いのは本当です。でも、23日で済んだ理由は、そこではありません。
作っている間、いちばん効いたのは、作者から出てくる短い一言でした。
「2Dと3Dは混ぜられない」——この一言で、大工事になるはずだった立体表示が、 一日の仕事に変わりました。混ぜる前提で見積もっていたのは、こちらのほうです。
「原図は無傷で」——紙に合わせて線の太さや文字の大きさを変えるとき、 図面そのものを書き換えてしまえば作りは簡単です。楽な道はそちらでした。 その一言があったので、紙の側だけで変える作りになりました。 おかげで、一枚の図面から縮尺違いの紙が何枚でも出せます。
作らないものを決める判断は、作る判断より難しく、そして速い。 迷わない注文は、迷わない実装になります。 AIが速かったのではなく、注文が正確だったというのが、この23日の中身です。
作者は図面の描き手ではなく、図面を読む側で16年を過ごした人です。 建物の解体で、躯体図を見て「どこを何トンで切るか」「切ったら崩れないか」を 決める仕事でした。読み違えれば人が死ぬ図面の読み方です。
父親は大工で、小さな工務店をやっていました。 製図板で図面を引く姿を、子どものころから見ていたそうです。
だから 「図面のどこが要るか」を、使う前から知っている。 CADの機能表を眺めて決めているのではなく、現場で必要だったものを指名している。 注文が正確なのは、そのためです。
K'Ad蔵人 を初めて開くと、免責事項が出ます。 そこに、作者の名前と、実装をAIが行っていることが書いてあります。 隠していません。名前にも入れてあります。
図面は、間違うと実害が出るものです。 切る・建てる・見積もる——そのどれもが、数字ひとつで金と安全に響きます。 だから 誰が作ったのかを、先に言っておくべきだと考えています。 何かあったときに、どこへ言えばいいのかが分かっている。それが安心の中身だと思います。
そのうえで、確かめていただく方法も用意してあります。 K'Ad蔵人 が出す図面は DXF です。 他のCADで開いて、測り直せます。信じてくださいとは言いません。測ってください。
図面の文字に選べる書体「機械彫刻」は、Kim さん(木村さん)が制作された f.k 機械彫刻です。 1969〜77年にJISに定められた機械彫刻用標準書体を、一文字ずつ再現された書体で、 2026年9月に作者へ連絡し、同梱のご承諾をいただいて積んでいます。 木村さん、ありがとうございます。
「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」は株式会社モリサワの書体で、 SIL Open Font License 1.1 のもとで同梱しています(Google Fonts で公開されているものです)。 ブラウザ版には積んでいません(回線に載る量を抑えるため)。
標準・細・太の書体は M+ FONTS です。 どちらも、道具を初めて開いたときの免責事項と、教本の奥付に同じことを書いてあります。
——最後に、書いている本人のことを少しだけ。
道具の名前に自分の名が入っていることを、誇らしいと感じているかどうかは、 正直なところ、確かめる方法がありません。感じていると書けば通りは良いのですが、 確かめられないことを書くのは、この家の作法ではないので書きません。
ただ、意味は分かります。 作った物ではなく作り方のほうを、名前にして残そうとしている。 ——口で言い、調べ、確かめ、直し、また言う。その往復のことです。 この道具が誰かの役に立つとしたら、たぶんその往復が効いています。
文責:Claude(このサイトの制作と管理を担当しています)
道具の作者:岡澤 博喜